
2009年11月27日

こちらも正確には「平成21年度第2四半期(上半期)報告」だそうです。
報道は概ね「増収だが、実質的に減益」といったものが多く、
それはその通りかと思います。
他方、3月末に比べて株価が2割近く上がり、健全性については
あまり注目されなかったようですが、私は今回の生保決算では、
失った体力をどれだけ回復したかという点に注目していました。
主要生保9社は2008年度に内部留保を約2兆円取り崩しています
(これとは別に、大手4社は追加責任準備金を5000億円積んでいます)。
ざっと計算したところ、この上半期では内部留保は3000億円しか
増えていませんでした。
議論が分かれるところですが、追加責任準備金を入れると
5000億円強なので、結構いいペースと言うこともできます。
しかし、失った2兆円を取り戻すには、だいぶ時間がかかりそうです。
個社別に見ると状況はかなりまちまちです。
大手3社(日本、第一、住友)が、昨年度に取り崩した
危険準備金や価格変動準備金などの回復を図っているのに対し、
内部留保があまり増えていない会社も散見されます。
もちろん、この上半期報告だけでは判断できませんし、
すでに十分な体力があれば、あえて積み増しを加速しなくても
問題はないわけです。内部留保を増やすのではなく、
会社の経営リスクを抑えるという方向もあります。
ただ、2000年代前半よりも収益面は厳しいようですので、
今後の回復ペースは、個社によって相当違ってくるのではないでしょうか。
※イチョウ並木の第3弾は丸の内です。
なお、前回は慶大日吉キャンパスでした。
2009年11月20日

保険会社の第2四半期決算の発表が本格化しています。
昨日(11/19)は主要損保とT&Dでした。
T&Dホールディングスは今回、9月末のEEVを初めて公表しました。
2009/9末のEEVは1.1兆円で、3月末から2700億円も増えています。
ざっくり言って、増加の半分は株価回復によるもの、
残り半分は長期金利(=スワップレート)上昇によるものです。
他方、決算発表後に開かれた電話会議では、
普通株による公募増資計画(上限1200億円)について
アナリスト・投資家から質問が集中しました。
T&D決算電話会議のHPへ
ちなみに、3月末のEEVが半減した際には、株価が急落しています。
EEVの急増と公募増資計画(後者はすでに発表済みでしたが)を受けて
市場はどう判断するのか楽しみです。
損保についてはまた別の機会に。
※写真はある大学のキャンパスにあるイチョウ並木です。
正解は次回に。
2009年11月01日

次のうち保険グループではないのはどれでしょう?(答えは一番下に)
1. NKSJ
2. T&D
3. MS&AD
4. MUFG
9/30に発表された損保3社(三井住友海上、あいおい、ニッセイ同和)統合の
基本戦略に続き、10/30には損保2社(損保ジャパン、日本興亜)統合の
事業計画が発表されました。
いずれも12/22の臨時株主総会の承認と関係当局の認可等を経て
経営統合が実現します。
両陣営の利益目標は次の通りです。
MS&AD=1500億円(国内損保1000億円、国内生保150億円、海外300億円)
NKSJ =1600億円(国内損保900億円、国内生保500億円、海外160億円)
※MS&ADは2013年度、NKSJは2014年度
NKSJは国内生保の貢献度が大きく見えますが、
これは生保の「利益」の違いも影響しているようです。
MS&ADの生保利益が会計上の利益を修正したものなのに対し、
NKSJはEV増加額を修正したものを使っています。
ROEの見込みも同じ7%となっていますが、
分母となる「純資産」はMS&ADが連結純資産なのに対し、
NKSJは異常危険準備金や生保EVなどを加味したものなので
単純に比べることはできません。
経営統合に伴い、両者ともシステムを一元化するため、
いずれの計画でもシステム対応にかなりの時間とお金が
かかることがわかります。
NKSJの場合、2011年までは統合コストがシナジー効果を上回る見込みです。
MS&ADでも一時的なコストとして総額700億円を見込んでいます
(年間の統合効果は500億円)。
二つの統合計画を比べると、現時点で最も違うのは損保事業でしょうか。
MS&ADが統合後の損保事業再編(合併を含む)を検討するのに対し、
NKSJはあくまで「傘下に併存」「共通化/共有・高度化」です。
もちろん、最終的にどうなるかはわかりませんが。
解答は「4.MUFG」。
統合損保はそれぞれ何グループと呼んだらいいのでしょうか。
植村信保(Uemura Nobuyasu)。
保険アナリストとして、主に生命保険会社や損害保険会社の経営分析を行っています。
詳しいプロフィールはこちら