
2008年12月06日
いずれも私のコメントが載っているので、ちょっとだけ感想など。
日経は12/6(土)の4面「変調生保(下)」です。
生保の基礎利益が圧迫されているのは、
「運用不振に加えて、保有契約が落ちているのも一因」
というものです。
ただ、今回の中間決算では主要生保の基礎利益が
軒並み減少しているのですが、一時的なコスト上昇や
変額年金の責任準備金負担などもあり、
基礎的な収益力が落ちたと言うには証拠不十分です。
金利上昇や追加責任準備金の効果もあり、
少なくとも逆ざやは改善しています。
週刊朝日の記事は巷で話題になったようです。
「危ない生保」というタイトルですから無理もありません。
特に注目されたのは、「株式純資産倍率」という指標です。
「株式」「外国株式等」の合計を「実質純資産額」で割ったもので、
マスミューチュアルと三井が2倍を超えています。
編集部のオリジナルかどうか知りませんが、興味深く感じました。
もちろん、この指標だけで生保の健全性を判断することはできません。
・「外国株式等」には外国株式以外のものが含まれている
(主要生保では外貨建資産の内訳として株式が公表されています)
・株式投信やETFが反映されていない(開示資料ではわかりません)
・ヘッジ効果が反映されていない
こういった弱点もあるのですが、金融危機による内外株式の下落に
焦点を当てるという発想は理解できます。
確かに株式を持っていなければ、株安の影響を受けませんよね。
ちなみに私のコメントは、「今回は株価が落ちるスピードが格段に速い」
「①貯蓄性が高い、②予定利率が高い、③契約が終わるまでが長い
という三条件に当てはまるほど、破綻によるダメージは大きくなる」
などでした。
2008年12月04日
ある上場損保の決算説明会で目にした言葉です。
政策株式は戦略的資源投入なのだそうです。
株式運用益に加え、安定的な企業保険収益の確保や
販売チャネルとの関係強化などに重要な役割を果たしており、
過去3年平均で約1.3%のリターン(国内保険収益のみ)とのこと。
しかし、必要資本の多くを株式保有リスクで費消し、
もちろん企業保険の保険引受リスクも抱えたうえで、
リターンはわずか年1.3%+αです。
株価が暴落しているなかでの投資家向け説明会で、
なぜあえて「戦略的資源投入」とうたったのでしょうか。
私には理解できません。
別の上場損保トップは決算説明会で
「株価下落による損失計上はやむを得ない」とコメント。
私は本来、「企業価値を損なってしまい、責任を感じている」
などと言うべきだと思うのですが、まるで、避けることのできない
自然現象のように聞こえました。
おかしいと思うのは私だけでしょうか?
2008年12月02日
1月に東京と大阪で開かれる保険代理店向けセミナーでスピーチをします。
保険会社の経営破綻にどう対応するか、というテーマのセミナーで、
講師は私と、大成火災の破綻を経験した代理店の岡武さんです。
http://www.faren.co.jp/
「保険代理店向け」とありますが、たぶん代理店限定ではないと思いますので
ご興味のあるかたはぜひお越し下さい。
ところで、拙著「経営なき破綻」をご覧になった当時の関係者
(この本の協力者ではなく、初めてのかたです)から連絡があり、
先ほどお会いしました。
もしかしたら怒られるのかも、とやや緊張して臨んだのですが、
そのようなことはなく、当時の話をいろいろと伺うことができました。
そのかたの話でも、やはり「人の問題」が大きかったようです。
2008年12月01日
ライフネット生命・出口社長の最新作です。
名著「生命保険入門」を、より平易かつクリアにした感じの本でした。
本書で示されている日本の生命保険の問題点についての指摘は、
私の問題意識ともかなり共通しています。
出口さんのすごいのは、解決策を示すだけではなく、
自ら実践しているところです(最近も付加保険料を開示していますね)。
私にとって最も興味深かったのは、営業職員チャネルのコスト構造を
具体的に試算しているところでした。
「なるほど、こう説明すればいいんだ」と目からうろこでした。
あと、「タテ(歴史)とヨコ(世界各地)の両軸から迫らないと、
その事象の本質は理解できない」という記述もあって(P175)、
西洋史学科出身の私には、何だかとっても共感できました^^
おすすめの1冊です。
植村信保(Uemura Nobuyasu)。
保険アナリストとして、主に生命保険会社や損害保険会社の経営分析を行っています。
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